カム設計の注意点

できるだけ簡単な機構が良い。(Simple is beautiful)

レバー比は、b/<3が良い。(図1)

他の条件が良くても、b/<5くらいまでで、これ以上は失敗する。

コストはかかるが、カム径は大きい程良い。

割付角はできるだけ大きくとる。力は(1/t2)に比例する。

直動従節形は、回転に対しても十分な剛性が必要である。(図2)

最大圧力角は、揺動従節で45°〜50°まで、直動従節では、30°〜35°以下にする。(図3)

カム設計の手順

機械の構想図を描く

荷重、作業端の動きから、カム径、レバー長さ・支点の位置等を仮に決める。

カム径は重要で、小さすぎると圧力角が大きくなり機構に無理な力がかかることになる。(図4)

各カムのタイミング線図を描く。(図5)

aカムが半分動いたら次のカムが動き出す1/2オーバーラップ法を使う。

b割付角はの割合で丸めて決定する。

最大圧力角からカム径を決定する。(図6)

例:カム上のリフト50mm、変形正弦曲線(Vm=1.76)、割付角60°、揺動形の場合

このカムは最小でもローラー中心でのカム外半径は110mm必要である。

カムの大きさは、カム揚程h(最終端の動き/レバー比)と割付角θhにより決定される。関連するカム同士で割付角を調整してバランスをとることが大切であり、スペースが許せば、少し大きめのカムの方が設計が容易である。

中心距離、レバー長さを決定する。(図7)(図8)

カム外半径rhよりもcが小さいと、レバーが片持ちになるので、下記のようにする。

またレバー長さは始点と終点がカム半径方向で同一になるように選ぶ。

割付角で10%以下のズレなら構わない。
むしろ、レバー支持部、レバーの共通部品化。

ローラー径を決める。(手配、修理等を考慮しなるべく統一する)

目安として5前後が標準的

カム板厚を決める。

最大荷重を計算して1〜2種類に統一する。(表1)

(表1)カムの許容面圧荷重
[円筒形ローラを用いる場面]

1. 最大圧力角が30°以下

ρpmin(最小曲率半径)=D(ローラー径)

2. 最大圧力角が45°以下

ρpmin=0.5D

3. 最大圧力角が45°以上

ρpmin=0.25D

カム軸、レバー軸の設計は、荷重Fがかかっても、たわみδが必要な精度を保てるよう、十分剛性のあるものにすること。(図9)

カム軸の駆動は、ウォーム減速機、タイミングベルト等、カム軸のトルク変動を受けにくいものを選ぶ。チェン、平歯車等はできるだけ使わない。